竹と子供
竹と子供は仲良しであった。といっても60年ほど前のことである。
最初は落ちている棒きれとか竹を拾って、木を叩いてみたり、チャンバラごっこをしたり、崖や斜面に投げつけて刺さるかどうか、など原始的なものであった。
少し長ずると刃物を使えるようになった。ノコギリとナイフである。捨ててあった竹竿を切り、タコ糸を結び付けて弓矢を作った。ところが、捨ててある竹竿はからからにひからび弾力性などはなかった。形になったところで細身の竹を矢にして引くと、弓が折れるのである。セロテープで折れた個所をぐるぐる巻きにしても無駄だった。
水鉄砲というのも作った。一方を空洞にし、もう一方を節を残して、その節の真ん中にキリで穴をあけた。割り箸に布を巻き付けて、穴を指でふさいで水を入れて割り箸で押すのであるが、予想を大幅に外れ、ちょっとしか水が飛ばないのである。
しかし、なんといってもメインイベントは正月である。
竹ひごをタコ糸で結んで四角形にして、そこに和紙を糊付けして、墨で正月と書き、下に足というのかなんというのかひらひらの長い短冊状のものをつければ、凧の出来上がりである。それをもって外を走り回り飛ぶことを望んでいるのだが、凧は知らん顔をして地面から離れず道路をガサガサといわせながら引きずられ、大空へ飛ばないのである。
竹トンボというのも作った。これは小学校の正規の図工の時間にやったものである。みんなどこからか竹を調達し、ナイフを使って形をつくり、キリで真ん中に穴をあけて、手をすり合わせるようにして飛ばすのである。
これは上手くいった。というのも作るのが上手いやつに手伝ってもらったからである。竹トンボが雄々しく空を飛ぶさまを見るのはとても嬉しかった。田んぼに落ちれば、泥だらけになるのも厭わず、じゃぶじゃぶと水田に侵入して取りに行ったものである。
竹馬というのも作った。これは竹竿に木でのる場所をつくって竹に釘で止めるのだが、デブだったせいで、乗ったとたん、木はもろくも崩れ去り、バランスを失い地面に叩きつけられたものだった。
竹とは関係ないが、空缶の両脇に穴をあけ、紐をとおして持ち手とし、缶の上に乗って走るというものもあった。むろん手作りである。遊びのようだが小学校の正式な体育の種目であった。だいたい校庭を二周ほどすると缶が潰れるか、持ち手の紐が切れて、乗れなくなった。
竹竿にタコ糸だけつけて釣りの真似をしたが釣れるわけでもなく、ただ川で遊ぶために作ったのである。
唯一、金がかかったのが飛行機である。割り箸の化け物みたいな胴体に竹ひごを、本来なら翼の形になるようにローソクで曲げるのだが、面倒くさくておなじみのセロテープで補強しながら形にした。一丁前にプラスチックのプロペラと動力にゴム紐で飛ばすようになっていたが、手を抜いた報いなのか、動力がきれるまで飛行機は地面でじたばたと動き回るだけだった。
ぶきっちょ丸出しの子供時代の遊びだった。
ギャンブル
ギャンブル・賭け事の類は一切やらない。主義主張があってやらないのではなく、生活破綻者にとって生きること自体がギャンブルであり、金を賭けることに全然スリルを感じないからである。
それに、勝負事がおそろしいほど下手なのである。将棋、トランプ、花札、五目並べ、オセロだのといった子供時代の遊びで勝ったためしがないのである。一度、友達に絶対勝たせてくれよな、と頼み、相手もニコニコしながら応じてくれたのにも関わらず、負けたのである。なんで、と文句をいったら、勝てるようにここを空けて置いたりしただろう、という返事であった。言われればその通りであった。相手が苦心惨憺して勝つように仕向けてくれていたのに、それを見抜けなかった自分がさらに腹立たしさに拍車をかけた。
パチンコも羽根といって、ある個所に球が入ると羽根が閉じたり開いたりして、いっぱい球が入るようなものまでは好きだったが、いまでは数合わせのみになってしまいやめてしまった。それよりも一か所にずっと座っているのが苦痛でタバコを必要以上に吸ったり、意味もなく店内を見まわしたり、体をゆすったりして、盤面の球に集中ができないのである。
唯一の例外は、高校生のころ〇〇寺へスリングショットを使って鳩を撃ちに行くとき、弾薬としてパチンコ玉を手に入れるときだけだった。そのときは一か所に座ってなんとか手持ちの弾丸(パチンコ球)を増やすことに腐心したものである。
テレビゲームもやってみたが、なにが面白いのかがまったくわからず、隣で友達が必死になってレバーとボタンを押しているのを見て、こいつ頭が狂ったのか、と思った。テレビゲームで面白かったのは、金の投入口にテニスのガットをいれて、不正にゲーム機を動かしたことだけである。(注意:友達がやり方を教えてくれたのだが、どうしてもできなかった)
マージャンなどもっての外である。メンツは四人だが、金がかかっているので、人間の醜さがモロに出る賭け事である。不慣れだったせいで自分のときだけ動きがのんびりになるのだが、それに対して、ブーブーと文句を垂れられておまけに負けたのである。人間、金が絡むと本性を出す、というがその典型なのがマージャンである。どうして、和気あいあいとできないのだろうと、そっちの方が不思議であった。
おまえはゲーム音痴なんだよ、と誰かがいったのだが、それが一番の至言であって、それ以来、生活破綻者になる前からギャンブル・賭け事は一切やっていない。
趣味音痴
生活破綻者になる前、天啓というのだろうか、なにか趣味を持とうと決心した。
どうせやるなら陸海空を制覇しようと考え、陸は乗馬、海はモーターボート、空はパラグライダーと決めた。
動物と一緒になって何かをやるというのが新鮮であり、子供時分にみたテレビのローハイドという西部劇の影響もあり、乗馬が一番長続きした。
馬に乗るときにはたてがみと鞍をつかんで乗り込み、手綱は手に縦になるように緩めに持ち、銜(はみ)で馬の口を切らないようにするため、体は状態をまっすぐにした状態で左右にねじって方向を転換するのである。体は絶対に左右に倒してはいけない。
馬を前進させるときは馬の腹を蹴るのではなく、踵で圧迫する程度でいい。
馬場を8の字に回ったり、直進したりと楽しかったのだが、どうも馬の反動を削ぐのに人と反対にやっていたようだ。インストラクターの方に指摘されても最後までなおらなかった。それでも馬にひょこひょこ乗るのは楽しく、乗馬クラブで2年ほど過ごすと、馬の世話の仕方まで教わることができた。
それほど楽しいのに、なぜ続けなかったかというと、馬場までが遠くて行くのが面倒くさかったのと、金が続かなかったこと、そして最大の理由が十代の初め頃から続いている腰痛のせいである。
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モーターボートは小さい頃からの夢であった。船舶四級免許(海の50cc)といわれるものをとって、モータージェットに乗る予定でいたのだが、教習中、海に出たときに船底を叩くドンドンという波の音が怖く、さらに船酔いをしたのがきっかけで、モーターボートに乗ることは諦めた。ただし、試験は筆記で100点満点を出し、実地試験でも高得点を叩き出した。
しかし、これもボートを借りたりなんだりで金がかかるので、実際はペーパードライバーで終わってしまった。
パラグライダーはやってみて初めて知ったのだが、高所恐怖症であった。少し飛んで着地をするのだが、足がすくんで尻から着地したりして、インストラクターを呆れさせていた。用具一式でかなりの金がかかったのだが、やはり飛ぶまでの場所が遠く、上から下を見ると、めまいがしてどうしてもなじめなかった。
陸海空を制覇するという夢は、あえなくおじゃんとなったのだが、腰さえよければ、乗馬だけは再度やってみたい。もっとも金欠病に侵されていなければ、の話ではある。
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