思考法
異論があることは百も承知だが、人間が獲得した思考法というのは突き詰めれば演繹と帰納しかない。
演繹とは風が吹けば桶屋が儲かる式のものであると理解すればいい。
具体的には
風が吹くと砂埃がたち、
砂埃がたつと砂が目に入り、
砂が目に入ると目が見えなくなる人が増え、
目が見えなくなる人が増えると三味線を弾く人が増え、
三味線を弾く人が増えると三味線屋が儲かり、
三味線屋が儲かると猫の皮が必要となり、
猫の皮が必要になると猫が減り、
猫が減るとネズミが増え、
ネズミが増えると桶がかじられ、
桶がかじられると桶を購入する人が増え、
桶を購入する人が増えると桶屋が儲かる
といったものである。
この風が吹けば桶屋が儲かるには、それ自体に論理的ミスがあるという方もいるし、また、これができた江戸時代には盲人の稼ぎ方としてあんまと三味線弾きがあり、この当時の三味線には猫の皮が用いられていたことを注記しておく。
これを簡単にかけば
AならばB、BならばC、CならばD、だからAならばD
といった論法である。
小説の中で、伏線なり手掛かりなどが記述され、最後にそれらをまとめてお前が犯人だ、という結論を出すものである。
これを簡単にかけば
A、B、C、D、E だからF
ということであるが、帰納を使うにはひとつ重要なことがある。だからFのだからの部分に蓋然性(たしからしさ)が必要ということである。
推理小説では蓋然性に動機やトリックの解明をもってきたりしている。
ここで問題をひとつ。クイズといってもいいが、歴(れっき)としたスタンフォード大学の競争問題である。演繹と帰納を駆使して解いてみてください。(有名な問題なのだが、解答と解説をサイトの一番最後に載せておきます)
問題)ある場所に熊さんがいました。真南に1㎞、真東に1㎞、真北に1㎞とこの順番で進んだら、元の場所に戻ってしまいました。この熊の色は何色でしょうか?
思考の道具?
1990年代からマインドマップ、アウトラインプロセッサというソフトがあるのだが、これがまともに使える人は少ない。
紹介文などを読むと、いかにもアイディアが湧いてくるような錯覚を覚えるのだが、じつのところをいうと、そんなことはない。
昔はハードが貧弱なので、まともなものがなかったのだが、それでも現在のものと比較しても、構造はおなじである。
現代のソフトは小洒落ていて、中心にメイントピック、枝がクリックすれば伸びるようになっていて、階層をどんどん下げていくことができる。
私はアウトラインプロセッサを使っているのだが、使い方はメモ帳程度で、階層ごとに似たような項目を書いているだけである。
これがマインドマップならメモ帳にすらならない。
なぜか?
使い方がみな間違っているのである。
頭の中にすでにある事柄を整理するためにマインドマップやアウトラインプロセッサがあるので、マインドマップやアウトラインプロセッサの中心的話題を決めてから、どんどん階層を深堀していくやり方は、思考法に合わないのである。
これは木を描くことを考えるとわかりやすい。
普通は木の幹を描き最後に葉っぱを描くのであるが、マインドマップとかアウトラインプロセッサは逆である。
葉っぱに相当する片言節句をはじめに思い切り書き出し、それを眺めて同じグループに属するものを分類分けして枝を作り、その枝がすべてつながるように幹を決めるのである。
これをブレーンストーミングといい、昔はポストイットとか白板などに書いて行っていた方法である。そして出来上がったマインドマップなりアウトラインプロセッサなりを眺めて、枝葉を追加したり削ったりする作業を行うのである。
このやり方であればアイディアと称するもの、新しい発見などというものが出てくる可能性があるのだが、中心となる幹から発想していけば、幹や枝という制約条件に左右されて、結局葉っぱは貧弱なものになり、なにも新しいものは出てこない。
逆にいえば幹と枝がすでにできているのであればマインドマップやアウトラインプロセッサは必要ない。
大方の人が無意識に幹と枝を無自覚に認識していることによって、これら2つのソフトが日の目を見ることがないのである。
〇〇について意見を出そう、という姿勢は大事だが、残念ながら〇〇に縛られてしまい、突拍子もない葉っぱなり枝がでてくる可能性はかなり少なくなる。
最初は〇〇にどれだけ柔軟性、抽象性を持たせうるか、最後に具体的な〇〇に転換できるか、がこの2つのソフトを使いこなせるかどうかの分かれ道である。
問題(クイズ)の解答と解説
解答:白
解説:まず真南、真東、真北の順に歩くとはどういうことか。これは緯度、経度の線上かそれと並行に動いていることを読み取って欲しい。
次に緯度と経度が三角形(正三角形)になる場所といえば、極点つまり北極か南極しかない。
最後に熊が生息しているのは北極なので、移動している熊はホッキョクグマであり、色は白となる。
出来損ないのクイズ番組はあり過ぎるほどあるが、本来のクイズとはこういったものであろう。
いまのクイズ番組にでている連中は、百科事典にでも生まれてくればよかったのに、とつくづく思う。
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