冬の過ごし方　年賀状　正月飾り

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冬の過ごし方

これを書いているのは2022年12月19日、いよいよ冬本番がまじかに迫った時期である。

この時期に俄然、張り切る人々がいる。スキーだ、スノボーだ、冬山登山だ、初詣、だと枚挙にいとまがない。

逆に巣ごもりの準備に忙しい人たちもいる。こたつだ、暖房だ、雪かきだ、みかんだとこちらも余念がない。

みな、それぞれ冬の時期をどう過ごすかで活発になる。

ところがこちらとしてみれば、これとはほぼ無関係である。

こたつの準備をしたら寝転んでTVを見る態勢をつくる。独り者の特権としてこたつは独占状態である。長々と足を伸ばそうがこたつ布団のなかに潜り込もうが苦情がでることはない。大変、結構な状況である。

問題は結露であるが、いまの電化製品はそこのところをちゃんと考えているらしく、結露でTVが映らないということはない。TVで張り切る人々を眺め、日本は平和だなあ、と感心し、長々と寝そべってうたた寝をし、腹が減ったらカップ麺を喰えばそれでいい。

豪華なお節料理とは、十数年無縁の生活を送っているので、いまさらそんなもの喰っても意味はないし、餅はオーブントースターで味噌を塗ってくえばいい。ライフラインも凍結防止になっているので安心である。

暇といえば暇だが、平和といえば平和な時期を過ごす態勢は出来上がっている。快適な冬を暇だ暇だとぼやきながら過ごすのも一興である、となかばやけくそになりながら、また今年も終わっていく。

来年こそは、の決意もなくダラダラとした日々が続くだけでもよしとしなければならない。これが生活破綻者の冬場の過ごし方である。

年賀状

生まれてこのかた、年賀状をもらったこともだしたことも一度もない。理由は単純で、だす相手、くれる相手がいないからである。

ところが、ここ十数年、毎年年賀状を送ってくる迷惑者がいる。車屋である。いまの車を買って、十数年経つのだが、いまだに年賀状を送って、新車を買うように暗にほのめかすのである。

小さい頃、正月でなにが嫌だったかというと、年賀状である。家族はみな分厚い束をもって、一枚一枚振り分けたり内容を読んだりと忙しそうにしていたり、あら、〇〇ちゃんからも来てるわ、と母親がいったりとにぎやかな雰囲気だが、一枚ももらっていない方としては、なんともいいようのない疎外感を味わう羽目になる。可哀想だということで、家族から年賀状が一度だけきたが、余計みじめな気分になった。

それ以来、正月はたんなる休みとしてしか認識しなくなったのは自然の成り行きといえよう。

そして、いま年賀状がこないことを喜んでいるのである。あんな面倒くさいものをいちいち手に取るなら、TVのチャンネルを手に取った方がましだという気分である。それに、寒い中、いちいちポストまで出歩かなきゃならないことを考えれば、来ない方が快適なまま過ごすことができる。

いま、年賀状の枚数が減っているだのなんだのと世間では騒いでいるようだが、一枚ももらったことのない者にとっては、どうでもいい話である。ましてや書いたことなど一度もないので、その騒ぎの中へ入る資格すらないだろう。

年賀状を出したりもらったりの人にとって、年賀状は有意義なことなのかもしれないが、その感覚がない、というかわからない。

いまは、メールとかSNSでやる人が増えているようだが、それすらない者にとっては、まことに静かな正月となるのである。

静かに来し方行く末をぼんやりと意識せずにボーっと頭の中を去来するに任せて、こたつに入っているのが、最高である。