論理パズル 序章

はじめに

談話室で演繹と帰納の話を書いた。

ブレーンストーミングというのは、思考法でも書いたように、まず木の葉を並べ立て、次に同じようなものを分類わけをして枝をつくり、最後にすべての分類わけをまとめるために幹を描くのであるが、その作業のなかで重要な思考法が演繹と帰納である。

「そんなことぐらい自分で考えろ」と言われたことがある人は多いと思うのだが、考えるとは演繹と帰納を駆使して筋道だった考えなり物の見方などのことである。

ここでは、演繹と帰納の演習(あるいは練習)として、論理パズル(あるいは論理クイズ)を題材として、演繹と帰納が身につくように出題する。

問題文は原文通りではなく、ヒントなども問題文に入れて条件として使えるように配慮した。また、算数や数学で解ける問題は割愛したことをお断りしておく。

思考を整理するための道具としてはマインドマップ(ここではXmind)を使用する。他にも無料ソフトがあるので気に入ったものがあればそちらを使って欲しい。

シロクマの問題をXmindで書くと以下のようになる。

Xmindによる演繹と帰納の論理図

作り方は、

与えられた問題から条件(枝)を書き出し、ついで意味(葉)を書く(ここが演繹)
葉の意味から枝の条件を加えることがある。(ここも演繹)
条件と意味からひとつの答えを導き出す(ここが帰納

という手順となる。

ブレーンストーミングとは違い、ロジカルシンキングを用いて論理パズルを解く場合、枝葉の書き順が逆になっていることに注意して欲しい。

論理パズルは情報の整理から入らないと解けないので、まずは枝を作り、その意味を葉として整理してから、すべてをまとめ上げることが手順としては重要である。さらにいえば、シロクマの例でもわかる通り、演繹が重要な役割を果たす。では演繹にはどんな道具があるのだろうか?

論理パズルの解き方(演繹の道具立て)

Xmindの論理図。演繹の道具

例題1

問題

片側に火をつけると1時間で燃え尽き、両端に火をつけると30分で燃え尽きる2本の線香がある。この線香を使って45分を計測するにはどうすればいいか?

線香を折ったりせず、また燃焼時間の速さは一定ではない。例えば線香の90%が10分、残り10%が50分で燃焼という場合もあることを考慮すること。

解答

2本の線香をA、Bと置く。

Xmindによる論理図。マークは葉から派生したものを表示している

例題2

問題

A、B、Cの3人のうち、1人は天使で常に真実を言い、1人は悪魔で常に嘘をつき、1人は人間で本当のことを言ったり嘘をついたりする。

A「私は天使ではない」
B「私は悪魔ではない」
C「私は人間ではない」
それぞれの正体は?

解答

人間はどっちつかずの発言しかしないので、真偽のみ、つまり天使と悪魔を確定して最後に残ったものを人間とする。

Xmindによる論理図。マークは確定したものを表示している

補足しておく。

もしBが悪魔だったとすると「私は天使ではない」「私は人間ではない」と発言すると真実を述べたことになる。

もしAが天使だったとすると「私は天使ではない」という発言は嘘になる。

例題3

問題

部屋Aにはスイッチが3つあり、それぞれ部屋Bに置かれた3つの電球(熱しやすく冷めにくい)につながっている。
ただし部屋Aのどのスイッチがどの電球に対応しているのかは不明。
また部屋Aから1度出ると部屋Bには行けるが部屋Aには戻れない
部屋Aのスイッチが部屋Bのどの電球につながっているか答えよ。

解答

Xmindによる論理図。マークは確定した行動を表示している

枝の「Bの部屋の状態」が答えになる。

例題4

問題

容疑者ABCがいる。

Aは「犯人はB」といった。

B、Cも言ったが記録がなくなってしまった。

その後の捜査で

犯人はABCのなかの1人
犯人だけが本当のことを話した

ことが判明した。

犯人は誰か答えよ。

解答

Xmindによる論理図。マークは枝葉から派生したものを表示している

補足説明。

Aの「犯人はBです」が真実だと仮定すると、真実を言っているので、Aは犯人となるが、それはA自身の「Bが犯人」という発言と矛盾する。Aは無実。

終わりに

以上のように論理パズル(あるいは論理クイズ)を題材にして、演繹と帰納の演習問題をこれから解いていってもらう。

目的はパズルを解くことではなく、条件(枝)と意味(葉)を演繹を駆使して整理することと、帰納を用いて結論を出すことである。

もちろん論理パズルなので、演繹のなかで真偽とか矛盾とかの用語が出てくるが、そちらに気を取られないようにして、演繹を活用することを心掛けてほしい。

また、仮定をおいたり、消去法、背理法なども使う場合があるが、これらは演繹法の一種である。

演習問題は、過去から現代までの有名な論理パズルを扱う予定でいる。

【引用参考文献】

論理パズル100 世界の名作から現代の良問まで(ブルーバックス) 小野田 博一

世界の名作 数理パズル100 推理力・直観力を鍛える(ブルーバックス) 中村 義作

論理パズル「出しっこ問題」傑作選(ブルーバックス)小野田 博一

新作 論理パズル77 (ブルーバックス) 小野田 博一

ただし、純粋な論理問題や証明問題、計算問題などはすべて割愛し、演繹と帰納が使える問題のみを(原文を書き換えるかどうかは別にして)選んだことをお断りしておく。

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