Power BI クイックメジャー 使い方とグラフ

はじめに

Power BI 改訂版で年度1月始まり、デフォルトのカレンダーテーブルを使えば、クイックメジャーを使えることを解説した。

ここでは、クイックメジャーの機能を項目順に解説していく。

前提としてはデータがあることが条件となる。

カテゴリごとの集計

カテゴリごとの平均

クイックメジャーで計算の種類を選択し、基準値に売上の合計、カテゴリに分類を選択し
OKを押す

表を見ると、合計がイベントなど4項目で割った平均になっているが、欲しいのはイベントなどの各項目の平均値である。

この計算のメジャーは次のようになっている。

このメジャーに手を加えて、各項目ごとの平均値をだす。

3で割っているのは、3年分の合計値だからである

図表は次のようになる。

合計値を縦棒、平均値を折れ線で表示

クイックメジャーであっても、こちらの意図しないことが多いので、メジャーに手を加える必要がある。

カテゴリごとの差異

注意して欲しいのは、計算の下にある注釈である

分散(つまりデータの散らばり具合ということ)を計算するようだが、実際にやってみると次の表のようになる。

合計だけが分散というものになって、各項目は0である

分散の平方根標準偏差というものであり、これが現実の値を示す。実際の計算をしてみると、40,083,931となり(小数点以下は切り捨て)散らばり具合が4千万円ということである。

しかし、これが欲しい数字だろうか。本当に正確な値だろうか。

注意

統計でいう分散とは、たとえばイベントでいえば

(イベントの各データー平均値)を2乗して加える
という計算になるが、
ここでやったことは
(イベントの総合計ー平均値)を2乗し、それぞれの項目も同様の計算をして加えた
だけであって、本来の分散の計算ではない。

しかも売上の合計ではなく、分類ごとの売上の平均をもってきたとしても、上手くいかない。

分類ごとの売上の差異というのならば、たとえば平均値との差などが欲しいところである。(これになんの意味があるのかはわからないが……)

実際に計算をしてみると次の表のようになる。

メジャーは

平均との差異=SUM('fマスタData'[売上])-[分類平均]

(分類平均とは上でやった分類ごとの平均の売上のこと)

分類ごとの売上の平均を分類平均、分類ごとの売上の差異を平均との差異と変えてある

グラフを分類平均と重ね合わせると次のようになる。

なんの指標に使えるのかわからない
最大値・最小値・加重平均

最大値はたんにイベントの数値がでてくるだけであり、最小値は0であり、加重平均に至ってはここでは無意味である。

フィルター

フィルターされた値

この計算結果はイベントの売上の合計 121353300 が出てくるだけである

Ctrlキーをおしながら、イベントとレギュラーを選択してみる。

計算結果は、イベントとレギュラーの売上の合計を足した値 175173990 になる

今度は売り上げの合計の代わりに、分類平均でやってみる。

計算結果は、イベントとレギュラーの分類平均を足して2で割ったもの 29195665 になる
フィルターされた値との差異
値の選択でイベントのみとした場合

この表は上記のカテゴリごとの平均である

計算結果は

分類の合計ーイベントの売上の合計=102,590,830

になる。

値の選択でイベントとレギュラーとした場合

この表は上記のカテゴリごとの平均である

この計算結果は

分類の合計ー(イベントとレギュラーの売上の合計)=48770140

となる。

基準値を分類平均・値の選択でイベントとレギュラーの分類平均の差異とした場合

この計算結果は

分類平均の合計ー(イベントとレギュラーの分類平均の合計)=-10533654

となる。

フィルターされた値に対する差異の比率
イベントとレギュラーを選択した場合の差異の比率

この計算結果は

{分類の合計ー(イベントとレギュラーの売上の合計を足す)}÷(イベントとレギュラーの売上の合計を足す)×100=27.84%

となる。

初めての顧客からの売上高はこのデータからはでないので割愛する。

タイムインテリジェンス

年度累計

年度累計のクイックメジャー・これでOKを押す

折れ線グラフのX軸に年、Y軸にクイックメジャーで作った売上YTDを入れる

この結果、グラフは以下のようになる。

年度累計のグラフ
四半期累計

四半期累計のクイックメジャー・OKを押す

折れ線グラフのX軸に年と四半期、Y軸にクイックメジャーで作った売上QTDを入れる

グラフは次のようになる。

年と四半期によるグラフ
3年分の四半期ごとの推移
月度累計

月度累計のクイックメジャー・OKを押す

折れ線グラフのX軸に年と月、Y軸にクイックメジャーで作った売上MTDを入れる

グラフは次のようになる。

年と月によるグラフ
3年分の月ごとの推移
前年比の変化

前年比の変化に対するクイックメジャー メジャー名は売上YoY%
年による前年比の変化。2019年に比較して2020年はおよそ30数%減少し、2021年は0%になっていることより、2020年の減少が2021年まで続いていることを示している
前四半期比の変化

前四半期比の変化のクイックメジャー・メジャー名は売上QoQ%である
年と四半期による前四半期比の変化
3年分の四半期のみの前四半期比の変化
月ごとの変化

月ごとの変化のクイックメジャー・メジャー名は売上MoM%
年と月を設定した月ごとの変化のクイックメジャー・メジャー名は売上MoM%
月のみによる、月ごとの変化
移動平均

年による移動平均のクイックメジャー
年による移動平均

四半期による移動平均のクイックメジャー
年と四半期による移動平均
四半期のみの移動平均

月による移動平均 前の期間が3になっていることに注意
年と月による移動平均
月のみに対する移動平均

合計

この3種類のクイックメジャーのうち、もっとも使用頻度が高い累計のみを扱う。残りの二つは割愛する。

累計

分類による累計分類のクイックメジャー

分類の売上に対する累積値のテーブル表示

これをCtrl+C、Ctrl+Vでもうひとつ作り、折れ線グラフを選択するとグラフは次のようになる。

累計なのだから、途中で下がるのはおかしい

そこで、分類の売上に対する累積値に細工をする。

テーブルの分類の売上に対する累積値にカーソルを合わせると、▼が左隅に小さく出てくる。これをクリックして▲に変更して、グラフを描くと次のようになる。

累計になったグラフ

これで累計が売上の合計とともに示させることになったが、次のようにグラフを変えてもパレート図にならないことに注意して欲しい。

このようなグラフにしても、パレート図にはならない。累計が%ではないからである。また売上の合計も累計を右上がりにするために売上の合計が降順になっていない

累計はいいにしても、やはりダッシュボード 作り方 Power BI編 part2 で行ったパレート図を使った方がいい。

カテゴリの合計(フィルターが適用されている)

残りの二つは割愛するとしたのだが、興味のある人はテーブルだけ作ったので見て欲しい。

このテーブルを見てもわかる通り、各分類に分類の合計値のみが入っている。使い方が間違っている可能性はあるにせよ、これでは使い物にならない。これはフィルターが適用されていない場合でも同様の結果になってしまう

数学演算・テキスト

この2つはグラフと関係ないので割愛する。

終わりにあたって

グラフ化をするにあたって、Power BIのクイックメジャーで使い物になるのはタイムインテリジェンスだけだと思った方がいいだろう。

他の機能も説明したが、グラフと直結したものは少なそうである。

グラフ化は全体像を見るのにとても便利な道具である。Excelにせよ、Power BIにせよ、グラフの作成は簡単である。

しかし、ベースとなるデータがキチンとならされていないと、どんなグラフも意味のないものになってしまう。

たとえば、販売個数が多ければ当然売上も多くなるわけだが、それを他の商品と比較する場合、商品単価が違うので一概に売り上げだけでどの商品がいいか悪いかを決めることはできない。

グラフを作成するデータに細心の注意を払って欲しい。

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